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通称『ロイヤリティ』。第1級市民のみが生活を許される区画。シティの少し丘になった場所に設けられており、街を見渡すようにして高級住宅地やブランドショップなどが立ち並ぶ流行の発信場所でもあり、日々セレブ達が奇抜で独創的なファッションに身を包み、最新のテックで自身の美しさをより引き立てる「生ける広告塔」として暮らしている。この区画への自由な立ち入りが許可されているのは第1級のIDタグ所持者のみであり、それ以外の階級には《免状》と呼ばれるIDタグとは別の専用パスが発行されていなければ立ち入れない

通称『セントラル』。行政･生活の中心地。高層ビル群やネオン、ホログラム広告が煌々と輝く『眠らない街』であり、比較的高級な店が軒を連ねるエリアから裏路地や煤けた店など下町情緒溢れるエリアなど様々。主に第2級や比較的裕福な第3級市民が生活する一方ギャングの活動も活発で、常にM.S.Cが見回っている。中央部に市庁や役所、その他オフィスビル等が立ち並ぶ繁華街、区画東側には歓楽街、北と南にはそれぞれ住宅街が拡がっている

各エリア詳細

高級居住エリア:第2級市民の居住エリア。海を一望できる好立地で、特に高級区画に近い場所は値段が高く、シティで成功した者を讃えるかのように高層マンションが建ち並ぶ

行政エリア:シティの行政の中心となるエリア。市役所や警察署、M.S.C本部などが一手に集まり、そこで働く者達を相手にした飲食業者も多いため、隠れたグルメスポットとしても有名である

繁華街エリア:シティで最も栄えている商業エリア。広告やネオンが消費者の購買意欲をそそり、日夜新商品が出回るとまで言われる程、多種多様な商品が売られている。《テック》専門のクリニックなどもここで多く開業しており、ここに店を構えられる者はそれだけで十分成功者と呼ばれるに相応しい
一般居住エリア:裕福な第3級市民が暮らすエリア。繁華街エリアや行政エリアから程近いが比較的落ち着いたエリアで、古き良き下町情緒を感じられる場所でもあってか第2級市民からの人気も高い
歓楽街エリア:バーやナイトクラブ、性風俗店などが軒を連ね、シティの夜の蝶がその手腕を振るう夜の街。ビック･スリーの《双龍会》や《カポネ･ファミリー》の縄張りがある為かこのエリアでの犯罪率は他のエリアに比べて非常に高い

通称『ワース』。港湾区画及び工場区画、そして非常に高い人口密度の集合住宅地から成る区画。第3級市民の殆どが此処で暮らしており、犯罪発生率も高くなっている。シティの産業の中核を担う区画であり、警備ドローンが常に工場の周りを巡回するなど、警備の厳重な場所もある反面、地元民しか知らない様々な抜け道も存在する。後述する《クラック》はこの区画の中でも外れの方に位置している

通称『クラック』。ワースの端にあるスラム街。区画としての区分はされていないが、《ワース》との区別をするため仮称として名が付けられている。身分証無しで作れる仮想口座や海賊版の商品、違法テックとそれらの移植を行う無免許技術者など様々な犯罪の温床となっている。ギャングの中でも最も危険とされる『カットスロート』が幅を利かせている為M.S.Cも滅多に捜査に踏み切らず、まさに「犯罪の街」となっている

《シティ》は独立都市かつ貿易都市である為か、世界中から様々な人種が集まり彼らが持ち込んだ文化や風習が複雑に混ざり合い、独自の文化を形成している。その中でも特に際立って独特な文化を紹介する

《シティ》の犯罪率は場所にもよるが全体的にやや高い傾向にある。それ故に《シティ》の条例には『自衛火器の所持･携帯』が正式に認められている。但し、民間人が携帯出来るのは拳銃までであり、それ以上の火器の携帯は『乙種火器携帯免許』と呼ばれる専用の免許、行政とM.S.Cそれぞれから発行される承認状が無ければならないとされている。無論、等級外市民が暮らす廃棄区画や下層区画ではそういった免許など持たずに火器を持ち歩く者が多いというのが現状だ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ニューロマンスジャーナル社会部

《シティ》におけるギャンブルやゲームなどの娯楽は非常に多く、様々な場所で一攫千金を求める者やプロと称して様々なゲームを遊び尽くす者を見る事が出来る。ギャンブルの中でも特に人気なのは『バトリング』と呼ばれる賭け格闘技、ゲームでは『ダイブ』と呼ばれる技術を用いたゲームが人気を博している。どちらも荒んだ現実から目を背けるにはピッタリなのだろうが目を背け続ける事は出来ず、いずれは現実に目を向けざるを得ない者が大半だ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『週間エントラント』編集部

賭けの元で行われる総合格闘技。ただ一般的な総合格闘技とは異なり『レグラー』『コンタクト』の二種の試合形式が存在し、中でも『コンタクト』は武器(テックウェアは戦闘用のみ含む)の使用やブザー後やレフェリー対応中の攻撃以外の全てが許可されている非常に生々しい戦闘が繰り広げられており、当然『レギュラー』より選手のギャラも賭けの配当も比較にならない程高く、この競技の大半は『コンタクト』で行われている事が多い

主にゲームなどで用いられる技術。大型のヘッドホン型の機器で、PC接続型とスタンドアローン型の2種がある。ゲームパッドなどのコンソール類を必要とせず、ヘッドホン型の装置で脳内の電磁パルスを回収・解析、ゲーム上のアバターやキャラクターに挙動を反映させるという仕組みが用いられており、テックが不要な事からインプラントが法的に規制されている15歳未満の小児やインプラントに耐えられない可能性のある老人などが使う事が多い。ゲーム用に開発されている機種はペアレンタルコントロール機能などが搭載されている

数年前から下層区画や中央区画では違法薬物による逮捕者が後を絶たない。一概にドラッグと言っても、マリファナやコカインなどの昔から名の知れたドラッグ以外に最近では『MD』と呼ばれる電子ドラッグが階級問わず出回っている他、これらの違法な品々がギャング達の収入源となっている為、M.S.Cはこれらの品に対しての罰則や取り締まりを強化しているものの、ブラックマーケットでの流通が早いのか、それとも意図的にこれらの流通を黙認しているのか、どちらにせよ流通は続いており《シティ》の抱える社会問題の一つとなっている　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ニューロマンスジャーナル社会部

テックウェアの普及と共に発展してきた電子ドラッグの一つ。記録者の五感やホルモンバランス、テックウェアの情報を全て収集した「MD(マインドドライブ)」別名「チップ」と呼ばれる超小型端末と特殊な再生機器を用いて記録者そのものとなって追体験が出来る。本来は犯罪捜査や囚人矯正、セラピー療法として発展したが、徐々に娯楽化していった。また「B(ﾌﾞﾗｯｸ)MD」「裏MD」と呼ばれるモノもブラックマーケットでは出回っており、通常のMDでは禁止されている様々な違法行為の追体験が金持ちの娯楽となり、セレブとの夢の一時が3級市民達の娯楽となっている為、それらを造る為の殺人や強盗、ハッキングなどの犯罪も起きている

恐らく性風俗における多様さで《シティ》の右に出る都市は無いのではないだろうか。トランスヒューマニズムや高度なネットワーク技術は『性』の在り方を更に多様化させ、かつては異常性愛とされたモノですらこの街では比較的ノーマルな性癖と見なされる場合が多い。ただし、性産業に従事する女性達の権利は相も変わらず見捨てられており、特に『ドール』と呼ばれる性風俗は筆舌に尽くしがたい現状があり、その大半が等級外市民と呼ばれる階級の出だという統計も出ている　　マルティネス･斉藤(社会学者)

脳への移植(インプラント)を施した生身のホスト(ホステス)に客が好みのソフトをインストールを施して楽しむ性サービス。仕事中の彼女達には意識や自我という物は存在していない事から『ドール(人形)』の名で呼ばれる。一応記憶の混濁が起きないように薬が定期的に支給されるが初期のドール業では複数のソフトをインストールされたせいで解離性同一症に似た症状を発症する者や人格そのものが変わってしまった者も多くおり、現在では件数こそ減ったもののホストへの負荷が無くなった訳では無い